“iPod課金”について
文化庁の文化審議会著作権分科会は、本年1月にまとめられた報告書において、iPod等のハードディスク内蔵型録音機器を、私的録音録画補償金制度の対象とする、いわゆる“iPod課金”を見送るという結論を出した。 |
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/bunka/toushin/06012705/002.pdf
私的録音録画補償金制度とは、デジタル方式の録音・録画機器及び記録媒体を用いて行われる私的な録音・録画に関し、著作権者等が補償金を受けられる制度のことです(著作権法第30条第2項)。補償金は、機器・記録媒体のメーカ等の協力により、その購入時に販売価格に上乗せした形で徴収されます。現在は、MDやCD-R等のデジタル方式で録音・録画が可能な記録媒体が、制度の対象になっています。パソコン等の機器に加え、iPod等の携帯型の端末も含まれるハードディスク内蔵型録音機器は、現在、制度の対象にはなっていません。
現在、携帯型オーディオ機器は、MDやCD等の制度の対象となっている媒体を用いているものから、制度の対象になっていない携帯デジタルオーディオプレーヤーに移り変わっています。報告書では、この現状を踏まえて検討を行った結果、ハードディスク内蔵型録音機器を私的録音録画補償金制度の対象とすることを検討するとし、現時点では対象とすることはしないこととなりました。その理由としては、著作物の私的録音・録画を行わない者までにも補償金を負担させるという問題が増大する、二重課金の問題が生じる、ユーザに十分に制度が知られていない、などの諸問題が解決されていない等が挙げられています。
また、報告書には、上記のような問題、状況の変化を踏まえて、私的録音録画補償金制度を抜本的に見直すとあり、平成19年中には一定の具体的な結論を得るとしています。この制度は、一方では著作権者を保護するものですが、もう一方ではユーザに対して不当な負担を強いる可能性のあるものです。ユーザの負担と著作権者の保護とが適切に行われる制度となることを期待します。