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[特許・意匠]米国特許商標庁、「AFCP 2.0」の試行期間を延長、「QPIDS」は恒久化なプログラムに ~両プログラムに関する統計データから見える運用の実情とは?~(※2018年9月28日時点の情報を反映)

(※AFCP 2.0の試行期間は2019年9月30日まで延長されることが、【出典】(1)の2018年9月28日付け更新及びUSPTOのNewsletter「Patent Alert」2018年10月3日付け配信分で発表された。)
(※QPIDSを恒久的なプログラムとすることが【出典】(2)の2018年9月28日付け更新で発表された。QPIDSの制度説明については別記事参照)
(※米国における情報開示義務及び情報開示陳述書(IDS;Information Disclosure Statement)に関する全般的な説明はこちら(PDF))

米国特許商標庁(USPTO)はウェブサイトにて、下記2つのパイロットプログラム「After Final Consideration Pilot 2.0 (AFCP 2.0)」及び「Quick Path Information Disclosure Statement (QPIDS)」の試行期間を2018年9月30日まで延長することを発表した。本稿では、両パイロットプログラムについてネット上で公表されている複数の統計データから、運用の実情について簡単に考察する。

After Final Consideration Pilot 2.0 (AFCP 2.0)
AFCP 2.0とは、Final Office Actionを含む最終拒絶(Final Rejection)後の補正要件を一部緩和すると共に、出願人による応答を考慮するための追加時間(特許は3時間、意匠は1時間)を審査官に認める等の運用を求めることができるパイロットプログラムである。

米国Juristat社による分析結果は下表の通りとなっている。25.42%という数値は必ずしも高くない。しかしながら、AFCP 2.0の申請によってスムーズに許可通知がされるか否かは独立クレームの補正内容など申請要件の充足度に大きく依存するため、最終拒絶の内容を踏まえたクレーム補正の可否と程度、行いうる反論等を考慮することが前提となるが、この分析結果はAFCP 2.0が選択肢の1つとして十分に検討に値することを示していると考えられる。

AFCP 2.0の申請結果に関する統計(Juristat社作成)

2014年1月1日以降の12万件以上を対象
許可通知(Notice of Allowance): 25.42%
アドバイザリーアクション(Advisory Action): 70.30%
新たな拒絶又は放棄(New Rejection/Abandonment): 4.28%

Quick Path Information Disclosure Statement (QPIDS)

QPIDSとは、特許発行料の支払後から特許発行までの間でIDSの提出が必要となった場合に、所定の要件(別記事の表1参照)を満たせば特許発行の取下げおよびRCEを回避できるパイロットプログラムである(ただし、意匠は対象外)。

このQPIDSについては、USPTOが2015年5月に下表のデータを公表しており、全体の86%は継続審査(RCE)に進むことなく処理されていることがわかる。

QPIDSの申請結果に関する統計(USPTO作成)

パイロットプログラム開始から2015年4月24日までの累積
(提出件数:5,929、処理済み件数:5,252)
訂正許可性通知書(Corrected Notices of Allowability): 4,531
継続審査(RCEs): 721

Technology Center 2800 – Semiconductor Customer Partnership Meeting」において示された統計

AFCP 2.0及びQPIDSに関する最近の統計には、2017年8月22日にUSPTOで開催されたイベント「Technology Center 2800 – Semiconductor Customer Partnership Meeting」において米国・Qualcomm社のプレゼンテーションで示されたものがあり、QPIDSは上記の統計と同様の数値(全体の83%が許可通知)であった。

その一方で、あくまでも限られたサンプルに基づく結果であるため数値だけで有意な比較をすることは難しいが、AFCP 2.0については、統計の対象期間や審査担当部門によって相違があり、許可通知(Notice of Allowance)の割合が17~26%の範囲となっている。これが、運用の積み重ね、審査担当部門又は出願人のいずれに起因する相違であるかを判断する材料はプレゼンテーション資料中に見受けられないが、興味深い結果となっている。

なお、この米国・Qualcomm社のプレゼンテーションには、AFCP 2.0及びQPIDSのほかに、Pre-Appeal Programや、最終拒絶後の出願を対象にして2017年1月12日で試行を終了したPost-Prosecution Pilot (P3)に関する統計も含まれている。既報の通り、P3は、Technology Centerによっては早期に申請受理件数の上限に達するほどに注目されたパイロットプログラムであったが、2017年10月末時点で再開等に関するUSPTOからの発表はない。

【出典】
(1)米国特許商標庁「After Final Consideration Pilot 2.0
(2)米国特許商標庁「Quick Path Information Disclosure Statement (QPIDS)
(3)米国・Juristat社「Do AFCP 2.0 Requests Actually Work?
(4)米国特許商標庁「Patent Public Advisory Committee Quarterly Meeting – May 2015: Operations Update/Patent Operations
(5)米国特許商標庁「Technology Center 2800 – Semiconductor Customer Partnership Meeting

【参考】
IPWatchdog「A Pre-Appeal Brief Conference is a Winning Strategy, Even if it Probably Won’t Lead to Allowance
※本文中で言及した統計とは別に、米国・Juristat社のアナリストによるPre-Appeal Programの統計分析に関する記事

米国特許商標庁「PPAC Quarterly Meeting (February 1, 2018)After Final Practice
※2016年7月11日~2017年1月12日を調査期間とするAFCP 2.0、Pre-Appeal及びP3についての結果及び統計(AFTER FINAL PROGRAM OUTCOMES、SUBSEQUENT RCE FILING及びTIME INVESTMENT)が示されている

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***更新情報(2017年11月8日、21日、12月8日)***
本文の補足及び修正

***更新情報(2018年2月2日)***
2018年2月1日にUSPTOで開催された特許に関する諮問委員会(Patent Public Advisory Committee; PPAC)のQuarterly Meetingでの配付資料へのリンクを【参考】に追加

***更新情報(2018年10月1日)***
本文の一部及びタイトルを変更

***更新情報(2018年11月26日、12月7日)***
本文の一部を変更、【関連記事】を追加

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