[特許]特許無効立証のための証拠基準に関する判断が最高裁で出される
Microsoft Corp. v. i4i Limited Partnership 米国特許法には、「特許は有効なものと推定」され、「特許又は何れかのクレームが無効であることの立証責任は無効を主張する側にある」と規定されている(282 条)。 |
しかし、特許侵害訴訟等における特許無効立証のための証拠基準については条文上言及がなく、判例上、米国特許商標庁の審査時における「証拠の優越(preponderance of evidence:理論的には51%の心証形成でよいと言われている)」よりも高度な、「明白かつ確信に足る証拠(clear and convincingevidence:約75%以上の心証形成が必要と言われている)」が適用されている。
マイクロソフト社は、少なくとも対象特許の発行前に米国特許商標庁によって参酌されていない先行技術を基礎とする場合は「証拠の優越」で足りるべきと主張していたが、米国最高裁は6 月9 日、「明白かつ確信に足る証拠」が適用されると判示した。
これにより、米国特許の安定性が原則として従前のまま維持されることになったが、「PTO での審査段階で考慮されなかった公知例が存在した事実を陪審員は考慮に入れることが許される」とも判示されており、審査段階で考慮されなかった公知例の存在事実が陪審の判断に何らかの影響を与える余地が残された。