[特許/台湾]〈コラム〉台湾における審査早期化
台湾智慧財産局(TIPO)では、2021年1月5日から半年間の予定で、スタートアップ企業の出願に関し、審査を早期化させる積極型特許審査を実施しています。当該審査では、面接で審査官が拒絶理由及び補正案を提示することにより、早期に特許性を確認することができます。今回は、この積極型特許審査を含め、2021年1月時点で利用可能な審査早期化のために取り得る各手段がどのような場面で有効かを紹介します。
1.特許審査ハイウエイ(PPH)
国により要件は多少異なるものの、特許可能と判断された1以上の請求項を有する等の所定の要件を満たす対応外国出願がある場合、表1に示す審査期間の観点から、PPHが有効な手段と考えられます。
2.加速審査(AEP)
AEPの主な要件は以下の通りです。
事由1:対応外国出願が特許査定済
事由2:対応外国出願が拒絶理由通知発行後、査定前
事由3:出願人自身が実施する発明
事由4:グリーンエネルギーに関する発明
対応外国出願はあるものの、PPHの条件を満たさない場合、AEPの事由1 又は事由2に該当するかを検討してみることも有効です。また、事由3や事由4に該当するのであれば、表1に示す手数料はかかるものの検討する価値はあると言えます。
3.積極型特許審査
冒頭で説明した通り、出願人がスタートアップ企業である場合に早期に特許性を確認できるため有効な手段です。
4.連合面接
同一出願人が関連する技術について複数の特許出願をしている場合に有効な手段です。面接でまとめて審査官に説明することにより、審査効率を高めることが可能です。
5.優先審査
出願公開後に第三者が業として出願にかかる発明を実施しているという補償金請求権が発生し得る状況であって、他の手段を利用できない場合に有効な手段です。
*1:積極型特許審査以外のデータは2019年のものを使用
*2:積極型特許審査の審査期間は、1回目の審査結果通知書の発行までが4ヶ月以内であるとされている。1回目の審査結果通知書が特許査定書である場合もあるが、一般的には拒絶理由通知書が発行されるため、ここでは1stOAまでの期間を4ヶ月以内としている(現地代理人の見解)。
【出典】
台湾智慧財産局「2019 智慧財產局年報」(PDF)等