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[商標/台湾]早期審査制度の正式施行

台湾における商標法の改正案が2024年5月1日に正式に施行されました。新しい制度には、早期審査制度(加速審査)が新たに加えられており、既に2024年5月1日から早期審査が正式に施行運用されています。以下、台湾における早期審査制度についての概要をご説明します。

改正商標法第19条第8項では、「商標登録出願において、出願人が即時に権利を取得する必要がある場合、事実及び理由を釈明し、早期審査料を納付した後に、商標主務官庁により早期審査をすることができる」と定められています。既に補正または拒絶理由が通知されている場合は除かれます。

*商標の種類:伝統的商標 [通常の商標](文字、図形など)と非伝統的商標 [新しいタイプの商標](立体的形状、色彩、匂い、音など)のいずれも早期審査を申請することができます。

但し、証明標章・団体標章・団体商標の出願は早期審査の対象となりません。

*費用:早期審査の対象となれば、オフィシャルフィー(NTD$6,000/1件1区分)の納付が必要です。

*期間:早期審査を利用する事で通常半年から8ヶ月かかる審査期間が約2か月に短縮されます。具体的には出願から2か月以内にファーストアクション(補正、拒絶理由または登録査定)が通知されます。

早期審査の対象となる商標登録出願:早期審査の対象となるのは、次の対象1~2のいずれかに該当する商標登録出願です。

対象1:出願人が、出願商標を全ての指定商品・指定役務に既に使用している(又はその使用の準備を相当程度進めている)案件

(1)「既に使用している」とは台湾国内での商標として使用していることを指します。
(2)「その使用の準備を相当程度進めている」とは商標が市場で販売される予定の使用状況が近づいていることをします。出願人が「商標の使用の準備を進めている商品名(役務名)」、「商標の使用予定場所」を記載するとともに、以下の使用準備の事実を裏付ける証拠を添付する必要があり、商標は指定商品・指定役務への取引上使用予定を証明する必要があります。

<資料 具体例>
a. 商標を付けた商品・役務に関する見本・パンフレット・カタログ等の印刷、広告についてその受発注を示す資料
b. 商標を付けた商品・役務に関する事業計画書

対象2:出願人又はライセンシー)が、出願商標を指定商品・指定役務の一部に既に使用していて(又はその使用の準備を相当程度進めていて)、かつ、取引上権利化について緊急性を要する案件

※取引上権利化について緊急性を要するとは、次のいずれかに該当するものをいいます。

(1) 第三者が出願商標を無断で使用(使用の予備的行為含む)している
(2) 出願商標の使用について第三者から警告を受けている
(3) 出願商標について第三者から使用許諾を求められている
(4) 出願商標は既に市場投入が計画されており、協力会社との販売や流通に関する契約が締結されている
(5) 出願商標は展示会への出展が計画されており、展示会の主催者と関連する契約が締結されている
(6) その他の取引上の必要性及び緊急性を証明するに足るもの

上述の「早急に権利を取得することが必要」ことについて、出願人が明記しなければならない事実、理由及び具体的な証拠書類は、以下が求められます。 

・使用商標は出願商標と同一であることが必要
・商標が使用されている商品・役務は、指定商品・指定役務であることが必要

<資料 具体例>

a. 商標を付けた商品・パッケージを撮影した写真
b. 商標を付けた商品・役務に関する看板製作の注文書、内装費の領収書、契約書、インボイス、輸出申告書
c.商標を付けた商品・役務に関する対外的な広告、ポスター、チラシ、パンフレット又はカタログ
d.商標を付けた役務の提供の用に供する物の受発注を示す資料(収入証明、統一発票、領収書、お見積書など)

なお、以下の場合は、通常、補正または審査猶予を通知する必要があるため、審査・審理の特殊性から審査・審理の質を確保するために早期審査の申請は勧めない、とする現地代理人コメントを得ています。

(1) 指定された商品・役務の表示が不明確または広い範囲である
(2) 出願商標のタイプは非伝統的商標 [新しいタイプの商標](立体的形状、色彩、匂い、音、連続図案など)である
(3) 商標権・商標法関連の係争を伴う案件

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