環境に貢献する特許を開放する試み~「エコ・パテントコモンズ」について
環境に貢献する特許を無償開放する試みとして本年1月に設立が発表された「エコ・パテントコモンズ」に、今回、ボッシュ、デュポン、ゼロックスの3社が新たに参加することになりました。 |
「エコ・パテントコモンズ」は、持続可能な開発のための世界経済人会議(WBCSD)、IBM、ノキア、ピツニーボウズ、ソニーが協力して本年1月に設立したもので、「エコ・パテントコモンズ」へ開放された特許を無償で実施することができるというものです。設立メンバーの4社と今回新たに参加した3社(ボッシュ、デュポン、ゼロックス)により、環境に焦点をあてた特許や環境保全にプラスの効果をもたらす製造に関する特許などが多くの人に開放されることになりました。
この「エコ・パテントコモンズ」は、一見、慈善的な行為にもみえますが、それだけでなく、その目的は「環境保全のために既存技術の活用を促進し、新しいイノベーションを醸成する企業間の協働を促進すること」であります。つまり、環境を切り口としたオープン・イノベーションの一形態といった新たな試みと考えられます。オープン・イノベーション一般の望ましい進め方については試行錯誤の段階と思われますが、このように多数の企業が協働してイノベーションが醸成されることで、今後、「エコ・パテントコモンズ」を中心としたグループが環境技術についての方向性などに大きな影響を与える可能性も想定されます。環境技術について多数の特許を有している日本企業のうち参加されているのはソニー1社ですので、興味のある企業の方は、このような新たな試みに参加されてみてはいかがでしょうか?なお、「エコ・パテントコモンズ」のメンバーになるには、1つ以上の環境関連の特許を開放すればよいそうです。
本来、特許は独占権であって、独占の結果、新たなイノベーションを生み出す土壌をつくるというものですが、今回のように逆に開放して新たなイノベーションを生み出す土壌とするといった新しい動きにも、今後、注目していきたいと思います。
詳細は、以下のホームページをご参照ください。
・「エコ・パテントコモンズ」について
・日本IBMのプレスリリース
http://www-06.ibm.com/jp/press/2008/09/0904.html
以上