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[特許/中国] 産業分野別の専利ライセンス契約実施料・実施料率データ

 特許権の権利者は第三者に特許発明の実施を許諾(ライセンス)する際に、その対価として実施料を受けることができます。実施料には、固定金額又は金額換算可能な株式提供等によって得られる金額として算定されるもの(以下、定額方式といいます。)、及び、売上高や利益等に実施料率を乗じた金額として算定されるもの(以下、料率方式といいます。)が知られています。産業分野ごとの特許の実施料率は、ライセンス契約の際や企業価値を評価するマーケットアプローチで用いる特許の価値評価の際に利用されることがあります。

 そのため日本では「実施料率(第5版)」(2003年、発明協会)[資料1]、「ロイヤルティ料率データハンドブック」(2010年、経済産業省)[資料2]等の文献が発行されたり、最近ではこれらの文献等に記載の実施料率を踏まえた「特許の技術的価値の評価指標策定のための実施料率データベースの在り方に関する調査研究」(2020年3月、特許庁)[資料3]等の取り組みがなされてきました。

 一方、中国では「知識産権強国建設綱要(2021-2035)(知识产权强国建设纲要(2021-2035年))」(2021年9月、中国共産党中央委員会及び国務院)[資料4]が示され、これに応じて2022年7月に「2021年及び最近5年に届出された専利ライセンス契約関連実施料率データ(国家知识产权局办公室关于公布2021年度及近五年备案的专利实施许可合同有关数据的通知・附件1,2)」[資料5]が中国国家知識産権局(China National Intellectual Property Administration:CNIPA)によって公開されました(専利は日本の特許、実用新案、意匠に該当します。)。このデータは、下記表1~6に和訳されたものが示されており(JETRO「中国、特許の産業分野別ライセンス実施料・実施料率データを発表」(資料6))、産業分野ごとのライセンス契約件数、ライセンス期間の平均年数、平均実施料、平均実施料率等を表しています。産業分野は中国の国家統計局(National Bureau of Statistics:NBS)による「国民経済産業分類(GB/T 4754-2017)(2017年国民经济行业分类(GB/T 4754—2017))」[資料7]及びCNIPAによる「国際特許分類と国民経済産業分類参照関係表(2018年)(国际专利分类与国民经济行业分类参照关系表(2018))」[資料8]に基づいて分類されており、このデータを構成するライセンス契約には定額方式で契約されたもの及び料率方式で契約されたものが含まれています。

 中国では特許価値評価のガイドラインが打ち出されておりますので[資料9]、今後は実施料・実施料率に関するデータの活用が予想されます。

【産業分野別ライセンス実施料・実施料率データ】
 表1~3は、2021年1月1日~2021年12月31日までの期間(1年間)内に登録されたライセンス契約に基づくデータです。ライセンス契約の総数(A)は4271件であり、ライセンス契約の対象となっている専利権の数(B)は16125件(特許:実用新案:意匠=51.8:35.5:12.7(%))であり、一つのライセンス契約当たりの専利権の数(B/A)は約3.8件です。

 表1には定額方式でのライセンス契約のデータが示されており、ライセンス契約の数は2748件(64.3%)であり、実施料の総額は106.6億元であってその平均額は387.9万元であり、ライセンス期間の平均は3.8年です。

 表2、3には料率方式でのライセンス契約のデータが示されており、ライセンス契約の数は307件(7.2%)であり、平均ライセンス期間は7.4年です。なお表2、3に示す「イニシャルペイメント」は料率方式及び固定方式が併用される場合に研究開発費や特許取得費等に対する補償を目的としてライセンス契約時に支払われる費用であり、「変動係数」は「標準偏差」を「平均料率(%)」で割って100を乗じた値であって相対的なばらつきを表しています(表5、6に示す「イニシャルペイメント」及び「変動係数」についても同様。)。

 なお、無料でのライセンス契約の数は、1216件(28.5%)です。

 表4~6は、2017年1月1日~2021年12月31日までの期間(5年間)内に登録されたライセンス契約に基づくデータです。ライセンス契約の数(A)は13495件であり、ライセンス契約の対象となっている専利権の数(B)は40212件(特許:実用新案:意匠=51.3:37.1:11.6(%))であり、一つのライセンス契約当たりの専利権の数(B/A)は約3.0件です。

 表4には、定額方式でのライセンス契約のデータが示されており、ライセンス契約の数は8528件(63.2%)であり、実施料の総額は292.4億元であってその平均額は344.7万元であり、ライセンス期間の平均は4.4年です。

 表5、6には料率方式でのライセンス契約のデータが示されており、ライセンス契約の数は1250件(9.3%)であり、平均ライセンス期間は9.1年です。

 なお、無料でのライセンス契約の数は、3717件(27.5%)です。

(表1)定額方式(固定額或いは金額換算可能な支払い)
(20以上の契約があった国民経済産業(部類)のみ)

(JETRO 「中国、特許の産業分野別ライセンス実施料・実施料率データを発表」 (資料6)より引用)

(表2)料率方式(対売上高の出来高支払い)

(JETRO 「中国、特許の産業分野別ライセンス実施料・実施料率データを発表」 (資料6)より引用)

(表3)料率方式(対利益の出来高支払い)

(JETRO 「中国、特許の産業分野別ライセンス実施料・実施料率データを発表」 (資料6)より引用)

(表4)定額方式(固定額或いは金額換算可能な支払い)
(20以上の契約があった国民経済産業(部類)のみ)

(JETRO 「中国、特許の産業分野別ライセンス実施料・実施料率データを発表」 (資料6)より引用)

(表5)料率方式(対売上高の出来高支払い)

(JETRO 「中国、特許の産業分野別ライセンス実施料・実施料率データを発表」 (資料6)より引用)

(JETRO 「中国、特許の産業分野別ライセンス実施料・実施料率データを発表」 (資料6)より引用)

[引用]

・資料1:「実施料率(第5版)」(発明協会研究センター(編))(ISBN4‐8271‐0740‐8)
・資料2:「ロイヤルティ料率データハンドブック」(経済産業省知的財産政策室(編))(ISBN978-4-8065-2858-6) https://www.meti.go.jp/publication/data/kanko11.html
・資料3:「特許の技術的価値の評価指標策定のための実施料率データベースの在り方に関する調査研究報告書」 https://www.jpo.go.jp/resources/report/sonota/document/zaisanken-seidomondai/2019_13_01.pdf
・資料4:「知識産権強国建設綱要(2021-2035)(知识产权强国建设纲要(2021-2035年))」 http://www.gov.cn/zhengce/2021-09/22/content_5638714.htm
・資料5:「2021年及び最近5年に届出された専利ライセンス契約関連実施料率データ(国家知识产权局办公室关于公布2021年度及近五年备案的专利实施许可合同有关数据的通知・附件1,2)」 https://www.cnipa.gov.cn/art/2022/7/26/art_75_176845.html
・資料6:「中国、特許の産業分野別ライセンス実施料・実施料率データを発表」 https://www.jetro.go.jp/ext_library/1/world/asia/cn/ip/pdf/report_20220818.pdf
・資料7:「国民経済産業分類(GB/T 4754-2017)(2017年国民经济行业分类(GB/T 4754—2017))」 http://www.stats.gov.cn/tjsj/tjbz/hyflbz/201710/P020180402592793000880.pdf
・資料8:「国際特許分類と国民経済産業分類参照関係表(2018)(国际专利分类与国民经济行业分类参照关系表(2018))」 https://www.cnipa.gov.cn/2018-10/20181008142028142317.pdf
・資料9「専利評価手引(专利评估指引)」 https://std.samr.gov.cn/gb/search/gbDetailed?id=AD5E938DBE464EF2E05397BE0A0AE6E7

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