[特許・実用新案・意匠/中国]「専利評価ガイドライン」の概要
2023年8月6日、専利価値評価に関する中国初の国家標準「GB/T 42748-2023:専利評価ガイドライン」(以下、ガイドライン)が全国標準情報公共サービスプラットフォームにて公開され、同年9月1日より施行された。ガイドラインは、中国国家知識産権局と中国人民銀行、中国国家金融監督管理総局が共同で編纂したものである。頭文字「GB/T」は、ガイドラインが日本のJIS規格に相当する中国の推奨性国家標準であることを示している。
ガイドラインでは、専利価値評価が必要とされる様々な適用場面、例えば、ライセンス・譲渡(出資、技術M&A含む)、金融(専利担保融資、専利証券化含む)、財務報告、侵害救済、マネジメント等の場面が挙げられており、表1に示すように、適用場面ごとに中核指標として利用できる三段階の評価指標、及び拡張的に利用できる拡張指標、ならびに追加項目が提示されている。また、各適用場面での実際のニーズに応じて、評価指標の選別及び各評価指標への重み付けを決めることが推奨されている。
<表1:専利評価指標>
さらに、ガイドラインの付録では、専利担保融資、専利譲渡、専利マネジメントの3つの具体的な適用場面が想定され、各適用場面においてそれぞれの評価指標に異なる重みを付ける事例や、評価指標の選別への考え方について、説明されている。
ガイドラインは推奨性国家標準であるものの、中国の専利価値評価に関する実務において評価方法・評価基準などについて一定のコンセンサスを促進するような積極的な役割を果たすことが期待される。
【出典】国家標準全文公開システム「专利评估指引」、JETRO「専利の価値評価に関する中国初の国家標準「専利評価手引」が公布・実施」等