ミッキーマウス、ピーターパン、ヒトラー・・・著作権の保護期間のトリビア
著作権の保護期間を、著作者の死後50年から70年に延長しようという動きがあります。 |
保護期間延長は世界的な流れです。
アメリカでは既に70年に延長されました。
著作権の保護期間は、創作者の孫の代まで利益を享受できるように、との趣旨で設定されたと言われています。
となると、医療技術の進歩で寿命が延びた今、保護期間を延長するのは自然の流れと言えるかもしれません。
しかし、当のアメリカでさえ保護期間の延長は、ミッキーマウス保護法と揶揄される始末。
さすがに長過ぎると世界中で叩かれました。
ところが、です。
実は著作権法の世界では、ミッキーマウスよりもピーターパンの方が長生きだったりします。
ピーターパンの著作者であるジェームズ・バリーは1937年に死亡しているので、その著作権は1987年に消滅したはずでした。
しかし、イギリス国会は1988年に著作権法を改正し、ピーターパンの著作権を期限なしで復活させたのです。
つまり、延命ではなく、死者を復活させた上に、不老不死にしてしまったのです。
なんという荒業!
でも、ミッキーマウスの延命は散々に叩かれたのに、ピーターパンは一切叩かれませんでした。
この差は、どこにあるのでしょうか?
実はジェームズ・バリーは、生前、ピーターパンの許諾料を小児病院に寄付していました。
ピーターパンの著作権が切れると、病気の子供たちが困るのです。
そこで、イギリス紳士の粋な計らいでピーターパンの著作権が復活した、という経緯がありました。
つまり、万人が納得する形ならば、永久の著作権を認める余地もあるのです。
では、次に永久著作権が認められるとしたら、それは誰のどの作品でしょうか?
実は私、個人的に目星を付けているんです。
名作かって?
逆ですよ。
20世紀最悪の書。
アドルフ・ヒトラーの「我が闘争」です。
ドイツでは、連合軍よりヒトラーの著作権管理を任されたバイエルン州政府が、その著作権を利用して「我が闘争」を事実上の発禁扱いとしています。
しかし、ヒトラーは1945年に死亡しているので、著作権は2015年に切れてしまいます。
となると、ネオナチが大喜びで「我が闘争」を出版しかねません。
そこで何らかの措置によりヒトラーの著作権が延長されるのでは?と睨んでいるわけですが。
さて、どうなるんでしょうね?