第2話.口述試験に落ちる人の類型は3種類
これまでの試験で口述試験に落ちてしまった人を観察すると、下記の3つの類型に整理できます。
第1の類型は、そもそも試験科目の法律の知識と理解が口述試験の合格レベルに届いていなかった人です。
例えば、論文式試験の後に遊び惚けて法律の知識が綺麗さっぱり脳味噌から消えてしまっていた人、論文式の合格発表後に口述試験のために条文と趣旨を再確認するという基礎的勉強を怠った人、論文試験は山勘が当たって合格しただけなので最終合格レベルの知識と理解がもともと備わっていなかった人、等が含まれます。
こういう人は、口述試験に落ちるべくして落ちたと言えますから、反面教師としましょう。
第2の類型は、試験官との巡り合わせが悪く、口述試験本番で本来の実力が発揮できずに落ちてしまった人(落とされた人)です。
本来は、このような事態は許されないことですが、10年~数年前の一時期、特定科目の特定の口述試験官が担当した試験室において、不合格率が限度を超えて高くなったと言われています。もちろん、試験官によって合格率に一定の格差が生じるのは当然ですが、許容限度を超える格差は国家試験における衡平の理念に反しますから、看過できない問題です。
制度改革によって合格者が急増した時期と重なっており、当該人物が試験官から外れたことで問題は既に解消していますが、このような試験室による合格率の限度を超えた格差(受験者から見ると当たった試験官による不公平)が今後、二度と生じないことを願いたい。
第3の類型は、合格レベルの知識と理解を持っていて、普通の試験官に恵まれながら、試験本番で本来の実力が発揮できずに落ちてしまった人(落ちる原因を自ら招いた人)です。
受験者としては、この第3の類型に嵌らないようにしたい。では、どういう人がこの類型に嵌まりやすいのか。私が本試験の試験委員を務める前の2006年に、ブログにたとえ話を書いていますので、それを引用します。
「ほんやら日記」からのピックアップ
明日(21日)は、弁理士試験の論文式合格発表日です。たぶん、800人くらいの受験者が「合格の喜び」を味わうのでしょう。でも、ここで安心していると、次の口述試験でコケるかも!? そう言うと「縁起でもないことを言わんで下さい!」と怒られそうです。でも、ここで何十人かは確実にコケます。だから、準備を整えてください。…で、ずっと昔の私が受験界に関与していた頃の話。「あいつがコケるとは、信じられない」という人が、時々(けっこう?)いました。
口述試験は、難しい質問は出ません。短答試験と論文試験に合格した人なら、落ちるはずがない。しかし、口述試験は口頭/対面で受ける試験です。そういうことで、落ちる人が出る。落ちそうに見えて落ちる人は、それはそれとして、周囲から見て「落ちるはずがない」と見えるのに落ちる人は、一つの傾向があると思います。
ひとことで言えば、「合コン上手の恋愛下手」です。「今夜は、この場だけを楽しめればよい」と気楽にやれた合コンでは、モテモテで大成功!…するのに、一対一の恋愛では「失敗したらどうしよう」と緊張して失敗する…そういうタイプです。
口述試験で落ちる人に共通するのは「あがる」ということです。口述試験では、誰でも多少は「あがる」ものです。しかし、これが一定の限度を超えると、例えば、試験官の質問が聞こえなくなったり、口論のような雰囲気になったり、判断力がなくなってしまったり、という緊張状態になるようです。さて…大丈夫ですか? 合コンではモテモテ、でも…一対一の恋愛ではコチコチ…映画「男はつらいよ」の寅さんタイプは、気をつけてください。
もし、試験場で「やばい!」と感じるくらいに緊張してしまったら、大きく3回、腹の底から深呼吸して、 好きな異性を思い描いて“チュッ!”とキスする仕草をする、と良いでしょう。
きっと、緊張感がほぐれて、合格の女神が微笑んでくれます。
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