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[特許/EP]欧州特許庁、改訂審査ガイドラインを2015年11月1日から施行 ~プロダクト・バイ・プロセス・クレーム、コンピュータ関連発明等に関するセクションも一部改訂~

欧州特許庁(EPO)は、オフィシャル・ジャーナル2015年9月号にて審査ガイドライン(Guidelines for Examination;審査便覧、審査基準)の改訂(November 2015 edition)を発表した。施行日は2015年11月1日。

審査ガイドラインの改訂は昨年2014年11月以来1年ぶりとなるが、発表によれば、見直しを毎年実施する方針に沿ったものとされており、今回はPart A~Hの8つすべてが対象となっている。EPOのウェブサイトでは、HTML形式で審査ガイドラインが提供されており、改訂の対象となっているセクションのリストに加えて、変更箇所を確認できる機能も提供されている。

改訂内容には次の事項が含まれている。

  • 2015年3月1日施行のモロッコとの認証協定への対応
  • 規則71(3)の改正による「通知の再発行を受ける権利の放棄」への対応
  • 拡大審判部及び他の審判部による審決を考慮した改訂
  • コンピュータ関連発明及びビジネス方法の論点への対処について、EPOにおける実務の明確化
  • 口頭審理の延期請求に関する明確化
  • ユーザーからのコメント及び提案の反映

上記のうち、拡大審判部及び他の審判部による審決を考慮した改訂の一例としては、F-IV 4.12のプロダクト・バイ・プロセス・クレームに関するセクションにおいて、2015年3月に拡大審判部の審決があった「ブロッコリ事件II(G2/12)」及び「トマト事件II(G2/13)」が追加されたことが挙げられる。これら2つの審決は、プロダクト・バイ・プロセス・クレームにおいて記載されている方法の特徴が欧州特許条約(EPC)の53条(b)により特許の対象から除外されている「本質的に生物学的な方法」であっても、それによって特許性の判断は影響されないと判示したもので、従前からのEPOにおける実務と同様に、いわゆる「物同一説」に沿ったものであるともいえよう。

また、コンピュータ関連発明及びビジネス方法に関する改訂では、G-VII 5.4及び5.4.1の文言が大幅に書き換えられているが、EPC56条の進歩性の判断において「技術的課題に対する非自明な技術的解決策(non-obvious technical solution to a technical problem)」を要求している等の点で従前からの大きな変更はないと考えられる。

なお、改訂審査ガイドラインとあわせて、PCT出願に関するガイドライン「Guidelines for Search and Examination at the EPO as PCT Authority」の改訂も発表されている。このガイドラインは、2015年10月1日に日本特許庁が公表した「PCT国際調査及び予備審査ハンドブック」に相当するものとなっている。

【出典】
欧州特許庁「Official Journal: September 2015
欧州特許庁「Guidelines for Examination in the European Patent Office

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