[特許/EP]欧州特許庁拡大審判部、「ディスクレーマー(除くクレーム)」を審理へ(※審決に関する追記あり)
※審決に関する情報は、追記(2017年12月20日)及び(2018年1月4日、1月5日)参照
欧州特許庁の拡大審判部は、クレームのディスクレーマー(いわゆる「除くクレーム」)に関する問題を審理することとなった。
本件(G1/16)で付託された質問は、ディスクレーマーが許容される基準に関する過去の拡大審判部審決であるG2/10(明細書に開示がある場合の基準)とG1/03(明細書に開示がない場合の基準)とが矛盾する可能性を契機としている。化学系の出願を中心にクレーム補正で用いられることがあるディスクレーマーだが、拡大審判部の判断によっては、その実務に影響を及ぼすことになる。
なお、本件への意見募集は、2017年3月1日まで実施される。
【出典】
欧州特許庁「Referrals pending before the Enlarged Board of Appeal」
欧州特許庁「Notice from the European Patent Office dated 29 November 2016 concerning the staying of proceedings due to referral G 1/16」※本件の結果に依存する案件の審査・審理を停止することを含む通知
欧州特許庁「European Patent Register: EP1933395」※対象特許の経過情報
***追記(2017年9月13日)***
拡大審判部の2017年8月16日付け書簡では、10月16日及び17日に開催が予定されている口頭審理に向けて、論点等が整理されている。
***追記(2017年12月20日)***
現地時間の2017年12月18日付けで、EPOのウェブサイトにて拡大審判部の審決が公表された。同日付のCommunicationはこちら。
***追記(2018年1月4日、1月5日)***
【参考】
ジェトロ・欧州知的財産ニュース「欧州特許庁審判部、特許出願時に開示されていなかった主題をクレームから除くディスクレーマー補正の適法性に係る判断基準を示す拡大審判部審決を公表(2017年12月22日)」※G1/16の審決に関する記事
古田 敦浩「欧州特許における消極的限定を含むクレームの取扱いについて」(特技懇 252号 2009.1.30)※G1/03に関する解説を含む記事
欧州特許庁「Case Law of the Boards of Appeal (8th edition, July 2016) II, E. 1. Article 123(2) EPC – added subject-matter」※G2/10で定義されている”gold standard”の説明とG1/03をはじめとする関連審決の紹介を含むセクション(特に、II. E. 1.2.1 Gold standard: directly and unambiguously derivable及びII. E. 1.5 Disclaimers)
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