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[特許] 米国CAFC大法廷、複数当事者の行為による特許侵害について判断(Akamai最高裁判決差戻審)

Akamai Technologies, Inc. v. Limelight Networks, Inc. (Fed. Cir. 2015) Nos. 2009-1372, -1380, -1416, -1417

2012年8月の米国連邦巡回控訴裁判所(CAFC)大法廷(en banc)判決および2014年6月の最高裁判決を経て、複数当事者の行為による特許侵害が長きに渡って争われてきたAkamai事件だが、2015年8月13日に下された2度目のCAFC大法廷判決において直接侵害(米国特許法271条(a)項)を認定するという形で新たな区切りを向かえた。

本件では、直接侵害がなければ誘導侵害(同271条(b)項)は成立しないとした最高裁判決により、CAFCへ差し戻されていた。その後、3人の判事によるパネル判決では侵害不成立の判断が示されたが、今回のCAFC大法廷は、Limelight社がユーザーを指示またはコントロールしたと認定すると共に、被疑侵害者の顧客を含む複数当事者の行為が共同事業(joint enterprise)とされる場合の下記4要素を示しつつ、被告Limelight社の直接侵害を認定した。

(1) グループの構成員間における明示又は暗黙の合意
(2) グループによって実行される共通の目的
(3) その目的について、グループの構成員間における金銭上の利害関係の共有
(4) 事業の方向に関して、平等な管理権を与える平等な発言権

しかし、特許権を取得および行使する立場からは、全ての工程を単一主体が実施するように請求項を作成した方が好ましいことには変わりがないと言えよう。

2006年から続く本件の経過を簡単にまとめると以下の通り。

  • 2008年2月地裁:陪審により直接侵害有りの評決
  • 2009年4月地裁:評決直後に出たMuniauction判決の影響を受け、直接侵害も誘導侵害も無い旨の判決
  • 2010年12月CAFCパネル:地裁判決を支持
  • 2012年8月CAFC大法廷:特許法271条(b)項を拡張解釈し、直接侵害がなくても、誘導侵害が成立する旨の逆転判決
  • 2014年6月最高裁:直接侵害がなければ、誘導侵害は成立しない旨の更なる逆転判決。事件をCAFCに差し戻す
  • 2015年5月CAFCパネル:最高裁判決に従い、直接侵害および誘導侵害不成立の判決
  • 2015年8月CAFC大法廷:CAFCパネル判決を更に逆転させ2008年2月地裁陪審評決を支持して、Limelight社がユーザーを指示またはコントロールしたと認定し、更にユーザの行為はLimelight社に帰する(attribute)ため直接侵害が成立すると判断
  • 2015年11月CAFCパネル:地裁へ差し戻し
  • 2016年4月最高裁:2度目の上告を棄却

【参考】
日本特許庁「特許庁産業財産権制度問題調査研究報告書(平成28年度研究テーマ):ネットワーク関連発明における国境をまたいで構成される侵害行為に対する適切な権利保護の在り方に関する調査研究(全文要約版)」
※報告書全文では、本件Akamai事件のほか、Muniauction事件Centillion事件等の複数行為主体に関する事件だけでなく、NTP事件(いわゆるブラックベリー(BlackBerry)事件)のような国境をまたいだ特許権侵害に関する米国裁判例等も紹介されている。

***更新情報(2016年1月29日)***
誤記の訂正と説明の補足

***更新情報(2016年4月24日)***
2度目の最高裁上告棄却を追記

***更新情報(2017年12月11日)***
【参考】を追加

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