[特許]特許法101条(保護適格性)の審査に関するアップデート「July 2015 Update」が公表される
(※続報は【関連記事】のリンク先参照)
特許法101条の保護適格性(特許適格性;日本特許法の特許・実用新案審査基準における発明該当性に相当)に関する近年の最高裁判決を受けて、米国特許商標庁(USPTO)は、2014年12月に「保護適格性に関する2014年暫定ガイダンス(2014 Interim Guidance on Patent Subject Matter Eligibility)」を公表し、審査を行ってきた。2015年7月30日、その暫定ガイダンスのアップデートとして「July 2015 Update on Subject Matter Eligibility」を公表した。10月28日を期限として、パブリックコメントの募集も開始されている。
今回のアップデートは、2014年暫定ガイダンスに対するパブリックコメントの結果を踏まえて、次のような構成となっている。
新規の事例は、抽象的アイデア(Abstract Idea)に関するもので保護適格性ありのクレームも含まれており、今後の実務の参考になるものと考えられる。
なお、ライフサイエンス関連(バイオ関連及び診断方法関連)の新規事例は後日に追加される模様である。
***追記(2016年5月6日、6月2日)***
USPTOは、2015年7月の「July 2015 Update on Subject Matter Eligibility」に続くアップデートとして、「May 2016 Subject Matter Eligibility Update」を公表した。ブログ「Director’s Forum」の2016年5月5日付け記事によれば、今回のアップデートは、次の事項を含むとされている。
- 保護適格性(特許適格性)に関する拒絶の起案及び出願人による応答への対応に関する指示を含む審査官向けメモランダム
- ライフサイエンス関連の事例
- 保護適格性に関する事例集の索引
- 保護適格性に関する判例の別表
- (2016年5月19日付けで追加)最近の判決に関する審査官向けメモランダム
→アップデート公表後にあった連邦巡回控訴裁判所(CAFC)による判決2件(抽象的アイデアではないとして保護適格性を認めたEnfish判決、及び、Enfish判決を引用しつつ抽象的アイデアであるとして保護適格性を認めなかったTLI Communications判決)を受けて追加
【出典】
米国特許商標庁「2014 Interim Guidance on Subject Matter Eligibility」
※注:「2014年暫定ガイダンス(2014 Interim Guidance on Patent Subject Matter Eligibility)」のページに追記する形で「July 2015 Update on Subject Matter Eligibility」及び「May 2016 Subject Matter Eligibility Update」が示されている。
【参考】
ジェトロ「米国発 特許ニュース:2016年4月12日 (仮訳更新)USPTOの特許適格性に関するガイダンス」
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