[特許/米国、フィリピン、チェコ、エジプト]特許審査ハイウェイ(PPH)に関する最新動向(2015年5月)
各特許庁間の取り決めに基づく早期審査の枠組みである特許審査ハイウェイ(PPH: Patent Prosecution Highway)について、最近の動向を紹介する。
<米国> PPHによる早期審査の効果が低下?
米国特許商標庁(USPTO)の統計速報「Patents Dashboard」における2015年4月時点のデータによれば、過去12か月においてPPHの申請に対する決定までの期間は平均101日となっている。一方、PPHポータルサイトにおける最新のデータ(2014年7~12月)では申請から最初のオフィスアクションまでの期間が平均3.17か月とされている。これらのデータはサンプル期間が異なるものの、現状では申請から決定までだけで相当の日数を要していると推察され、申請決定につづく最初のオフィスアクションの発送も全般に遅れている可能性が高い。
USPTOは、申請に対する決定の遅れを解消するための対策をすでに講じた模様で、早期審査の効果も回復することが期待される。
<フィリピン、チェコ、エジプト> PPHプログラム及びネットワークの拡大
日本とフィリピンとの間では、これまでのPPH及びPCT-PPHに加えて、2015年3月12日から「PPH MOTTAINAI」プログラムが利用可能となった。これにより、日本特許庁の審査結果又はPCT出願の国際段階成果物によらずとも、同プログラムに参加している庁の審査結果であれば、PPHを利用することが可能となった。
また、日本とチェコ共和国との間では2015年4月1日からPPH及びPCT-PPHが、日本とエジプトとの間では2015年6月1日からPPH(合意内容にPCT-PPHは含まれていない)が、それぞれ開始された。なお、チェコ共和国は欧州特許条約(EPC)の締約国でもあるが、PCT出願の場合には欧州ではなくチェコ国内への移行手続を行い、当該チェコ国内移行出願においてPPH又はPCT-PPHを利用することも可能となっている。
【出典】
米国特許商標庁「Data Visualization Center: Patents Dashboard “Frequently Filed Petitions in the Office of Petitions“」
日本特許庁「特許審査ハイウェイについて」、「PPH Portal Web Site(日本語)」
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