[特許・実用新案・意匠/中国]2年連続で中国における特許出願件数が100万件を超えるも、登録件数の伸びは低下
(※2017年前半までの他のデータを交えて、中国における知的財産権の現状を紹介した記事はこちら)
(※2017年の特許出願件数を紹介した記事はこちら)
中国国家知識産権局(SIPO)の月次統計によれば、専利(日本における特許、実用新案及び意匠に相当)に関する2016年の出願件数は依然として増加が続いており、下表のとおり、特許及び実用新案は2年連続で100万件を超えた。
また、特許及び実用新案の登録件数は2015年に続いて増加したが対前年比の増加率は大きく低下した(表1参照)。特に、特許について、2016年各月における登録件数の対前年比は、6月を除いて8月まではプラスで、7月に+84.9%と大きなプラスを示した後に減少し、10月は-82.4%と大幅なマイナス、その後もマイナスが続き、11月が-38.8%、12月が-18.4%となっている。このような急激な変化の背景は不明だが、結果として、年間を通しての登録件数の伸びが低下した原因になっている。
さらに、意匠については、出願件数が60万件を上回ったものの、登録件数は減少している。中国では、意匠出願及び実用新案出願について明らかな新規性欠如等の審査はされうるものの、両者とも基本的には実体審査がないことから、実用新案の登録件数が増加したにも関わらず、意匠の登録件数が減少した点は注目できる。
なお、日本特許庁の特許出願等統計速報のデータによれば、日本における2016年のデータは表2のとおりで、出願件数及び登録件数のいずれについても日中の差は更に広がっている。
<表1:中国における出願件数・登録件数>
2014年 | 2015年 | 2016年 | ||
特許 | 出願 | 928,177 | 1,101,864 (+18.7%) |
1,338,503 (+21.5%) |
登録 | 233,228 | 359,316 (+54.1%) |
404,208 (+12.5%) |
|
実用新案 | 出願 | 868,511 | 1,127,577 (+29.8%) |
1,475,977 (+30.9%) |
登録 | 707,883 | 876,217 (+23.8%) |
903,420 (+3.1%) |
|
意匠 | 出願 | 564,555 | 569,059 (+0.8%) |
650,344 (+14.3%) |
登録 | 361,576 | 482,659 (+33.5%) |
446,135 (-7.6%) |
|
※( )内は前年に対する増減率 |
<表2:日本における出願件数・登録件数>
2014年 | 2015年 | 2016年 | ||
特許 | 出願 | 325,989 | 318,627 (-2.3%) |
318,306 (-0.1%) |
登録 | 227,142 | 189,358 (-16.6%) |
203,087 (+7.3%) |
|
実用新案 | 出願 | 7,095 | 6,827 (-3.8%) |
6,442 (-6.1%) |
登録 | 7,017 | 6,695 (-4.6%) |
6,297 (-5.9%) |
|
意匠 | 出願 | 29,738 | 29,861 (+0.4%) |
30,822 (+3.1%) |
登録 | 27,306 | 26,297 (-3.7%) |
25,344 (-3.6%) |
|
※( )内は前年に対する増減率 |
【出典】
中国国家知識産権局「国家知识产权局专利业务工作及综合管理统计月报」
日本特許庁「特許出願等統計速報:平成28年12月分(平成29年2月14日作成)」
【関連記事】
季刊創英ヴォイス
vol. 81 知財情報戦略室:データで見る中国における知的財産権の現状 ~特許権侵害訴訟の近況を交えて~ 2017-12-01
vol. 82 知財情報戦略室:日本および中国の特許・商標関連統計を読み解く 2018-04-01 ※2017年の公表値変更についての分析を含む記事(ページ番号08参照)
知財トピックス(東アジア情報)[特許・実用新案・意匠/中国] 中国における特許の年間出願件数が100万件超え ~実用新案も100万件超え、意匠は微増~ 2016-03-09
知財トピックス(東アジア情報)[特許/中国]<コラム>中国における特許の質向上に関する取り組み 2017-11-06