[意匠]中国の意匠出願における新たな傾向
2009年10月1日から施行された第三回改正専利法では、意匠制度について大幅に修正した。具体的には、意匠の保護範囲から技術レベルの低い「主に表示機能を果たす平面印刷物」を排除し、類似する意匠を一出願として提出できる(類似する意匠の合案申請)規定を新たに加えた。第三回改正の専利法が実施されてから、意匠出願に新たな傾向がみられている。 |
傾向1:平面印刷物の出願件数が減少し、立体包装箱の出願件数が増加した。
第三回改正によって新たに設けられた第25条第1項第6号は、「平面印刷物の図案、色彩又は両者の組合せについてなされた、主に表示機能を果たすデザイン」について特許権を付与しないと規定している。
この規定により、包装紙、包装袋、ラベル等の平面印刷物の出願件数、特にラベル類の平面印刷物の出願件数が大きな変化を見せた。2010年1月~9月の意匠出願件数は、前年同期比で16%増加したに対して、平面印刷物の出願件数は下表に示すように大幅に減少した。また、ラベル類の出願件数が著しく減少した一方、立体包装物の出願件数が大幅に増加した。
【表】
傾向2:類似する意匠の合案申請は、中国国内出願人によるものが多い。
第三次改訂の専利法第31条第2項では、「同一製品における2つ以上の類似する意匠は一出願として提出することができる」との規定を新たに加えた。したがって、セット製品の合案申請に加えて、類似する意匠の合案申請も可能となった。
中国国内出願人はこの規定についてよく理解しているため、類似する意匠の合案出願件数が2498件で、全体の62.43%を占めている。一方、外国出願人による類似する意匠の合案出願件数は、1503件で、全体の37.57%を占めている。出願数が多い国順は、中国、日本、アメリカ、ドイツ、フランスとなる。
<「中国知識産権報」2011/04/01>