[意匠・商標/EU、英国]<コラム>日本からイギリスへの意匠出願・商標出願の現状とは?
メイ首相が2017年3月末までにEU離脱通告を行うとの意向を明らかにした後に、11月3日に裁判所(高等法院;High Court)は通告には議会の承認が必要との判断を下し、イギリスのEU離脱は交渉開始時期さえ未だに不透明な状況にあります。そのため、当面の間、正式離脱後の英国知財制度に関して様々な予想が出るものと考えられますが、意匠権・商標権の取得に関しては、今のところ、欧州連合知的財産庁(EUIPO)に出願する登録共同体意匠(RCD)・欧州連合商標(EUTM)以外のルートを使う必要があると見込まれています。
そこで、2010~2014年における意匠及び商標の出願件数を見てみると、下表のように、日本からの出願ではRCD及びEUTMが活用される一方で、日本からイギリスへの出願は少なく、特に意匠の直接出願の少なさが際立っています。これは、商標についてはマドリッド協定議定書のルートが利用可能である一方で、意匠についてはハーグ協定に未加盟(2017年中の加盟に向けて準備中)であることも一因と考えられます。
<日本からの意匠出願件数(RCDのみハーグ協定ルートを含む)>
<日本からの商標出願件数(マドリッド協定議定書ルートを含む)>
※下段の( )内は全出願件数
【出典】
世界知的所有権機関「IP Statistics Data Center」
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