[商標/欧州] 欧州連合司法裁判所、1つの加盟国のみでの使用を「真正な使用」と認定することについて判示
Leno Merken BV v Hagelkruis Beheer BV(C-149/11)
2012年12月19日、欧州連合司法裁判所(CJEU)は、共同体商標の「真正な使用」に関して争われていた「ONEL」事件に対して判決を下した。
本件では、オランダ1カ国のみで使用されていたLeno社の共同体商標「ONEL」を根拠として、Hagelkruis社のベネルクス商標出願「OMEL」に対する異議申立がなされたところ、ベネルクス知的財産庁は、オランダを含むベネルクス3カ国で使用していないことを問題視して、共同体商標「ONEL」は不使用取消に値する商標であり、異議申立は許容されるべきではないと判断していた。このベネルクス知的財産庁の判断が、共同体商標に関する理事会規則(No. 207/2009)15条(1)における「共同体における真正な使用(genuine use in the Community)」の解釈との関係で議論となり、異議申立の控訴審を担当するヘーグ地域控訴裁判所からCJEUに対して複数の質問が付託されていた。
今回の判決で、CJEUは「真正な使用」の判断は地域的な境に拘束されるべきではないと判示した。その一方で、市場の特性、商品・役務の性質等を含む関連する事実や状況を考慮する必要があるとも判示している。これらのことから、加盟国の国境は考慮される要素の1つであり、関連する事実や状況によってはEU加盟国の1つでの使用が共同体商標の「真正な使用」に該当する場合がある可能性は認められたと考えられるものの、画一的かつ統一的な基準までは判示されておらず、その点では玉虫色の判決となった。