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[特許/中国] 捏造発明に関する代理契約は無効である

 本稿では、捏造発明に関する代理契約の有効性が争点となった事件(事件番号:(2021)最高法知民终1068号)を紹介する。

【事件の概要】
 中山某会社(以下、「甲」という)及び広州某会社(以下、「乙」という)は、甲が「発明の構成及び執筆」を乙に委託し、乙が専利申請書類の起案等を担当し、取得した特許権の第三者への譲渡によって得られた利益を所定の比率で甲及び乙に分配する旨を定めた代理契約を結んだ。甲及び乙の間に様々なトラブルがあった結果、甲は乙に対して支払済の5万元の返還を求め、乙は甲に対して未払いの32万元等の支払いを求めていた。

【主な争点】
 甲と乙との間の代理契約は有効であるか。

【結論】
 中国最高人民法院は、代理契約が有効であるとの一審の判決を否定したうえ、代理契約は無効であるとして甲及び乙の両方の求めを退けた。

【詳細】
 中国最高人民法院は、本案の370件の発明は虚構捏造されたものであり且つ双方がこれを明知しており、双方による代理契約の締結及び履行は誠実信用原則に反し、悪意のある共謀によって第三者の利益に損害を与える行為に相当し、正常な専利申請、審査秩序を乱し、社会公共利益を損害し、当代理契約は無効というべきであると判示し、当代理契約に基づく双方の債権は合法な債ではなく、法的保護及び司法救済を与えるべきではないと判示した。甲及び乙の両方の求めは退けられ、甲及び乙の違法行為に関する情報が行政機関に移送された。

【コメント】
 政府からの補助金の不正受給を目的として捏造発明をもって専利申請する不正事例が多発していたようだが、本事件では捏造発明に関する代理契約の合法性が認められなかったので、上記不正事例の発生の抑制効果が期待される。

[出典]
1.最高人民法院知的財産法廷「以编造的发明创造为标的的专利代理合同无效」
2.「中国裁判文书网」(上記事件番号で検索)

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