[特許・実用新案/日本] マルチマルチクレームの制限
令和3年12月15日に産業構造審議会知的財産分科会特許制度小委員会、審査基準専門委員会ワーキンググループの第16回会合が開催され、マルチマルチクレームの制限について了承された。マルチマルチクレームとは、他の2以上のクレームを引用するクレームであるマルチクレームを、少なくとも1つ引用するマルチクレームである。その制限とは、マルチクレームが他のマルチクレームの基礎となることを制限するものである。
適用開始は、2022年4月1日と予定されている。2022年4月1日以降の特許出願及び実用新案登録出願から適用される。
1.制限の必要性
以下のような必要性・問題点があることから、マルチマルチクレームの制限がなされることとなった。
2.制限の概要
マルチマルチクレームの制限については、特許請求の範囲の記載に関する形式的な要件であることから、特許法施行規則第24条の3に規定される予定である。また、特許・実用新案審査ハンドブックについても関連する箇所について必要な修正が行われる予定である。運用としては以下が予定されている。
3.制限の影響
今までマルチマルチクレームで記載していたクレーム範囲と同一のクレーム範囲を記載することとすれば、クレームを分解して記載する必要があるため、クレーム数が多くなる。クレーム数が多くなれば、例えば審査請求料や年金が高額となってしまうといった問題が考えられる。従って、今まで以上に、本当に必要なクレーム範囲を見極めた上でクレームを検討する必要が出てくる。さらに、出願時以外にも審査・審判段階での補正時に制限の影響はないか、今後公表される詳細な情報をもとに精査が必要である。
【出典】
日本特許庁「産業構造審議会知的財産分科会特許制度小委員会審査基準専門委員会ワーキンググループ – 第16回(令和3年12月15日) – 議事要旨・配布資料」、「「特許法施行規則及び実用新案法施行規則の一部を改正する省令案」に対する意見募集について」