[商標/タイ]2022年版商標審査マニュアルの発行
タイ知的財産局(DIP)は、2022年1月17日に新たな商標審査マニュアル(新審査マニュアル)を発行した。新審査マニュアルは商標委員会の審決や最高裁判所の判例、国際的な基準等を考慮し、従来の2016年版のマニュアルから大幅な加筆・変更がなされ改定されたものであり、係属中および新規の商標出願の全てに即日適用される。
新審査マニュアルは、特に「識別性」に関する記載が注目される。
・識別性のレベルの分類化
識別性を有する商標の検討として、識別性のレベルが高い順に、
①創造的標章(Fanciful Mark)…例:Kodak
②恣意的標章(Arbitrary Mark)…例:タバコにCamel
③示唆的標章(Suggestive Mark)…例:バスサービスにGreyhound
④記述的標章(Descriptive Mark)…例:クッキーにCrunchy
⑤一般名称的標章(Generic Mark)…例:印刷機にPrinter
と分類化され、①~③までは商標登録を受けられる識別性を有すること、④は使用により識別性を獲得する場合があることが明示された。
・語句またはフレーズ・地理的名称の識別性
その商品の特徴または性質を直接表示する語句またはフレーズ、大臣が告示する地理的名称は、たとえ特別な態様に装飾したとしても、識別性がなく、登録を受けられない。
例:「」は日本の火山名・地理的名称。特別な態様に装飾しても登録を受けられない。
・通常ではない順序の3つ以上の文字・数字
通常ではない順序の3つ以上の文字・数字を並列したものは、識別性のある装飾した文字または数字と見なされる。
例:(識別性あり)TCL、145、(識別性なし)ABC、123
但し、その商品の特徴または性質を直接表示する文字・数字は、特別な態様で装飾しても識別性はない。
例:被服にXXL、補助食品にB12
・使用による識別性の獲得
「2年以上」にわたってテレビやソーシャルメディア等で広く宣伝、広告され、マーケティング活動が行われたことは、獲得された識別性を証明する適切な長い期間と認められ得る。
新審査マニュアルは、商標登録官の審査の基準、指針となるものであり、かつ、商標出願人・代理人の便宜にも資するものである。新審査マニュアルに従って、審査が明確、適切に行われることが期待される。
【出典】
・タイDIP「商標審査マニュアル 仏暦2565年」
【参考】
・JETRO「タイ商標審査マニュアル 仏暦2565年(西暦2022年)版(ジェトロ仮訳)」