[特許・意匠・商標/日本]〈コラム〉日本公報を収録している無料の知財情報データベース ~機械翻訳、画像検索などのツールが利用可能なものも~
前回のコラムでは2019年5月にリリースされたJ-PlatPat(特許情報プラットフォーム)の機能改善を紹介しました。J-PlatPatは主に日本公報の調査や確認に用いますが、近年は、世界知的所有権機関(WIPO)、欧州特許庁(EPO)及び欧州連合知的財産庁(EUIPO)といった公的機関によって提供されている下記のデータベースにも日本公報が収録されており、場面に応じて活用することができます。
○ 特許
世界知的所有権機関(WIPO)「PATENTSCOPE」
https://patentscope2.wipo.int/search/ja/search.jsf
欧州特許庁(EPO)「Espacenet」
https://worldwide.espacenet.com/?locale=jp_EP○ 意匠
世界知的所有権機関(WIPO)「Global Design Database」
https://www.wipo.int/designdb/en/index.jsp
欧州連合知的財産庁(EUIPO)「DesignView」
https://www.tmdn.org/tmdsview-web/welcome.html?lang=ja
※初回アクセス時にクッキーの利用に関するページが表示される場合があります○ 商標
世界知的所有権機関(WIPO)「Global Brand Database」
https://www.wipo.int/branddb/en/
欧州連合知的財産庁(EUIPO)「TMview」
https://www.tmdn.org/tmview/welcome.html?lang=ja
※初回アクセス時にクッキーの利用に関するページが表示される場合があります
これらのデータベースは世界中の公報を幅広く網羅している点が共通の特徴で、「Global Brand Database」の人工知能(AI)による画像検索のほか、「WIPO Translate(PATENTSCOPEから利用可能)」や「Patent Translate(Espacenetから利用可能)」のように独自のツールを提供しているデータベースもあります。
(※日本のJ-PlatPatで利用可能な機械翻訳等については、記事末尾の【メモ】参照。)
また、インターフェースの日本語表示(「Global DesignDatabase」及び「Global Brand Database」を除く)や、日本語での検索(「Espacenet」を除く)が可能なデータベースもあります(日本語対応の範囲はデータベースによって異なります)。
ほかに、医薬品に関する特許情報に特化したデータベースとしてWIPOが提供している「Pat-INFORMED(https://www.wipo.int/patinformed/)」においても、日本特許の情報が収録されています。
なお、公的機関によって提供されているデータベースではありませんが、特許についてはGoogle社の「Google Patents(https://patents.google.com/)」も日本公報を収録しています。「Google Patents」ではインターフェースの表示は英語ですが、日本語を使った検索が可能で、日本語公報の英訳(機械翻訳)も提供されています。
【出典】
世界知的所有権機関(WIPO)「WIPO Translate – Instant Patent Translation」
欧州特許庁(EPO)「Patent Translate」
世界知的所有権機関(WIPO)「WIPO、商標に使用できる人工知能による最新式画像検索ツールを発表(PDF)」※Global Brand Databaseの画像検索に関するプレスリリース
工業所有権情報・研修館(INPIT)「J-PlatPat ヘルプ一覧」
BUSINESS WIRE「WIPOとIFPMAが医療関係者の適切な医薬品の調達に貢献する 新しいオンライン特許情報データベースを開設」※Pat-INFORMEDに関するプレスリリース
【参考】
工業所有権情報・研修館(INPIT)「公的機関が提供する知財情報や技術情報のデータベース」※無料データベースサービスのリンク集
日本特許庁「特許情報提供サービスに関する調査報告書について」
日本特許庁「説明会テキスト」※各年の「実務者向けテキスト」にPATENTSCOPE等を紹介するテキスト、資料等が含まれている
WIPO日本事務所「日本語のWIPO資料」※リンク先とその上部の「その他の知的財産イベント」においてWIPO提供のデータベースに関するマニュアルや資料が提供されている
一般財団法人日本特許情報機構(Japio)「特許・情報フェア&コンファレンス 開催報告」※各年の開催報告において、WIPOやEPOが提供するデータベース等を紹介する発表資料が提供されている
国立国会図書館リサーチ・ナビ「調べ方案内>科学技術・医学>専門資料>特許」※Espacenet等を使った調べ方のほか、特許分類を使った調べ方等についての紹介もある
東芝デジタルソリューションズ株式会社「特許庁から受注した機械翻訳システムの稼動開始について ~ NICTが開発した最新のニューラル機械翻訳エンジンの採用により、正確で自然な翻訳を実現 ~」※J-PlatPatで提供されている機械翻訳について
欧州特許庁「Patent Information News」※Espacenet等に関する最新情報(例:2019年7月時点の最新号2/2019では、Espacenet次期バージョンの使い方やJ-PlatPatの刷新に関する情報)が提供されている
株式会社ワイゼル「Patent Information News(旧 EPIDOS-NEWS)日本語版」
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【メモ】
(1)J-PlatPatで利用可能な機械翻訳等について
J-PlatPatでは日本公報の機械翻訳や外国公報の和文抄訳・機械翻訳が提供されています。使い方は、FAQ(よくある質問と回答)で「翻訳」をキーワードにして検索すると表示されます。
(2)EPO「Espacenet」等で日本の公開特許公報・特許公報等を閲覧する際の小技
- EPO「Espacenet」
「SmartSearch」からの検索では、J-PlatPatの検索結果一覧に表示される文献番号で冒頭の特開、特許等を削除し(または、JPに置き換え)、特開等の場合は「ハイフン(-)」を削除してから検索する必要があります(同様の手順にて出願番号を使った検索も可能)- WIPO「PATENTSCOPE」
「簡易検索」からの検索では、Espacenetの場合と同様の手順で検索する必要があります(出願番号を使う場合も同様)- Google社「Google Patents」
J-PlatPatの検索結果一覧に表示される文献番号(例:特開20##-######、特許6######)をそのままコピー・ペーストして検索しても、該当する日本公報がサジェストされます(ただし、公報表示を日本語に切り替える手間が必要で、2019年7月時点のトップページでは出願番号を使った検索には非対応)なお、これら3つのデータベースのいずれも、日本公報の収録範囲はJ-PlatPatと同一ではない点には注意が必要です(特に、古い公報や最新分の収録)。
***更新情報(2019年7月19日)***
【参考】に「国立国会図書館リサーチ・ナビ」の情報を追加
***更新情報(2019年7月23日)***
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